◆イベント報告|おしか大学 ~石巻の生き物と交通事故について考えてみよう~

2月12日に石巻専修大学動物生態学研究室の学生のみなさんをお招きして、ホンドテンの研究と動物の交通事故について解説していただきました。

清崎憩いの森に生息するニホンテンのフェノロジー調査

はじめに発表してくださったのは阿部聡太さん。

石巻市のホンドテン(ニホンテン)の食性と時間的差異、果実の利用可能性と食性の関連性を明らかにするため、

牡鹿半島の清崎憩いの森で調査を実施しました。

ホンドテンの主要食物は果実ですが、小動物や節足動物なども食べています。

糞に含まれる内容物を調べたところ、季節によってホンドテンが食べる食物に違いがあることがわかりました。

果実が実る時期は優先的に果実を利用(採食)しますが、実らない場合は小動物や節足動物を採食しています。



さらに糞の中には種子が確認できたため、ホンドテンが植物の種子散布に寄与している可能性があることがわかりました。

阿部さんは今後テンが食べた果実の種子の発芽率を計測していきたいそうです。

石巻市内における鳥のロードキルについて

続いて発表をしてくださったのは猿渡あさひさん。

世界では、年間約2億羽以上がロードキルにあっているそうです。

日本においては、貴重な鳥を対象とした研究が増えてきているものの、身近な鳥の研究がされていないのが現状です。

猿渡さんは石巻市内のロードキルについて、

種類ごとの事故が発生した時期や場所、発生地点と環境要因の関係を調査しました。

   

カラスが最も多く、さらに市街地で起きていることがわかりました。

一方、牡鹿半島では鳥のロードキルがほとんど起きておらず、

その理由として半島道路に誘導木となるものが多いことが考えられるそうです。

ロードキルを調査することは、事故そのものを減らし、生息数の減少を食い止め、結果として生態系を守ることに繋がります。

今後は、事故の原因や車に轢かれやすい鳥の特徴、具体的な場所を調査したいそうです。

猿渡さんは、鳥のロードキルを減らすために誘導植栽やごみ収集の時間帯の変更などを提案してくれました。
身近な生き物だからこそ、その性質を考えた思いやりのある行動を心掛けたいですね。

学外での発表はとても緊張したと思いますが、学生生活の集大成として、とてもわかりやすく発表していただきました。

阿部さん、猿渡さん、ありがとうございました!

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