金華山灯台までのルート調査に行ってきました

12/20(水)、金華山灯台ルート調査のご報告です。

今回のトレイルは黄金山神社から東へ向かって山頂を通る設定です。
これまでと違う点はニノ御殿から下山せず、金華山灯台を目指すところ。
歩行距離はなんと通常ルートの2倍ほどもあるので、スタッフは計画時から戦々恐々……。

とはいうものの、やはり未知の道への好奇心もあるため、金華山へ向かう船ではみんな元気いっぱいです。

おなじみの山のポーズ

8:50 金華山港に到着。
黄金山神社で装備の最終チェックを行い、山頂へ向かいました。
冬の朝の凛とした空気を味わいながら歩いていると、ささやかな冬景色が見られました。

今シーズン初めての霜柱
氷筍のような氷

10:30 夢中になって歩いているとあっという間に山頂付近へたどり着きました。
山頂(奥の院)はここからさらに登ったところにありますが、眺望の良さから解放感があふれ、思わず記念撮影。

なんという跳躍力。

ここは山頂ではないのですが、とても眺めのよい場所です。
一同夢中になってシャッターを切りました。

山頂付近から女川方面を望みます。出島にかかる橋も見られますね。
山頂ではみちのく潮風トレイル全線開通記念のカウントダウンを行いました。

既に達成感がありますが、今日はまだまだこれから。続いてニノ峠を目指します。
今回のトレイル(調査)では道をふさぐ倒木が目立っているように感じました。

「倒木、どうする?」

パンチで倒木は撤去できません。
(このあと通れる程度の通路を確保しました。)

山頂からニノ峠までの景色は解放感に溢れています。

天候に恵まれ風も穏やかな1日。展望が開けるたびに素晴らしい景色が目に飛び込んできます。
ニノ峠までの下り坂は疲れ始めた脚に負担をかけますが、これを前にすると気になりません。

ここが私の……(!)

どこまでも広がる青い空と海は気持ちいい。
ですが、この景色はシカの食害による影響でもあります。なんとも複雑な心境です。

11:00 ニノ御殿~山椒峠へ

通常のトレイルルートはニノ峠から西へ下っていきますが、今回はここからニノ御殿を通過し、金華山灯台を目指します。

巨石を伝って急斜面を登っていきます。

ニノ御殿と聞く(読む)と何か建物でもあるのかな?と思ってしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。

一説によると、本来は金華山で2番目に高い峰という意味で「ニノ御巓(巓=いただき)」と書いたものが簡略化されて現在の表記となりました。

ちなみに……ニノ御殿までの道はグッと勾配がきつくなります。
どうやら写真を撮る余裕もなかったようで記録が残っていませんでした。

ニノ御殿を通過すると山椒峠が待ち受けています。
文字通り、茨の道が続きます。

ゴツゴツした岩とトゲトゲした山椒の道

ダニ対策で比較的ツルツルした衣類を着用していたのですが、山椒の棘に何度も引っかかり、いつか服が破れるのでは……と気が気ではなかったです。

鉄の階段

過去に道が整備されていたようですが、鉄の階段はところどころが錆びて穴が開いており、
その穴を埋める落ち葉がステップの役割を果たしていました。

鉄と石でできた階段。手すりがすっかり壊れています。

11:40 山椒峠~金華山灯台

長く続く階段やジグザクの坂道を通過すると、灯台方面への道標を発見しました!

灯台の文字を見ると、徐々に目的地に近づいているのだと気持ちが高ぶってきます。

久しぶりの開けた芝生。この時点で既に時間は押していたのですが、しっかりと休憩をとりました。

電線が通る道をしばらく歩きます。
時にはガレ場の近くを歩いたり。

山椒の棘を振り切りながらひたすら道なりに進むと……

水平線が見えてきました!
灯台までの道

12:20 金華山灯台到着

「鹿の遊ぶ灯台」の名の通り、灯台周辺にはいくつかのシカの群れが確認できました。

金華山灯台は明治時代に建設された現役の灯台で、歴史的・文化的価値が高く評価され、保存灯台のAランクに指定されています。

東北地方においては最古の石造灯台です。

しばし記念撮影をし、灯台と太平洋を眺めながら昼食を食べ、黄金山神社を目指します。

13:20 山椒峠~黄金山神社

今回はルート調査ということもあり、地図に載っている道をベースとして歩くことを意識しました。
しかしながら想像以上に登山道が荒廃していたため、地形図とGPSを確認・修正して歩く……ということを繰り返しました。

最後の峠

写真では伝わりづらいですが、ニノ御殿を通過したときか、それ以上に急な斜面でした。
復路ということもあり脚が上がらなかったので、ほぼ這うように、時には落ち葉で脚を滑らせたりしながら斜面を登りました。

後でスタッフ同士で振り返りをした際、

(ここで滑り落ちたらまた同じ道を登りなおさないといけないんだ)
(船の時間に間に合わなかったらここで一夜を明かさないといけないのか)

などとかなり深刻な受け止め方をしたのですが、当時は本気で危険を感じました。

やっとの思いで峠を越えると、次は底が見えないような下り坂が待ち受けていました。

地形図上で見ると、距離はそれほどではありません。引き換えに、斜面は急です。
(もう脚がクタクタだったので「お尻で滑って移動していいですか?」と聞くと、お尻割れちゃうよとけんもほろろな返答。)

登り同様に落ち葉で脚を滑らせ、山椒の棘が刺さるのを耐えながらひたすら下っていくと、山小屋が見えてきました。
みちのく潮風トレイルのルート上にある、あの山小屋です。

終わりの見えない(かのように思えた)峠越えがとてもつらかったせいか、見慣れた山小屋を目にした瞬間「帰ってきた……」と口々に呟きました。
実際には山小屋から神社までまだ道のりがあるのですが、もう踏破したも同然です。
帰りの船の時間を気にしながら、走り歩きをして無事神社まで戻ることができました!

神社の近くまでくると、シカの姿がちらほらと確認できるようになりました。

人慣れして逃げないので、実質シカと一緒に歩いているようなものです。
界隈では少し有名な角が折れたシカも見られました。

神社から港までの道はくたくたの脚とつま先には刺激が強かったのですが、達成感が感じられるだけで自然と足取りは軽くなります。

船に乗り、本当の意味で金華山灯台のルート調査を無事に終えることができました。


今回の調査結果としては、階段や手すりなどが壊れていたこと、道の荒廃が進んでいた(本来あったはずの道が利用できなかった)ことが大きなポイントでしょうか。

同じルートを通る際は、安全管理をしっかりとした上で臨んでいただきたいと思います。
(道の険しさに関しては、記事執筆者が運動不足なので少々盛っている表現があるかもしれません。)

通常のみちのく潮風トレイルルートより難易度が高くなるのは事実なので、くれぐれもお気をつけください!

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