◆セミナー報告|霊島金華山とシカの暮らし~シカの角切り行事祭から見るシカの生態~

金華山黄金山神社にて行われる「神鹿角切り行事祭」の前日、金華山に生息するシカの生態研究を30年以上に渡り続けている、麻布大学南正人准教授による鹿セミナーを10月3日に開催しました。

セミナーでは、世界に生息する角を持つ生き物とニホンジカを比較しながら、オスのニホンジカに生えている角の役割や、金華山に生息する群れの関係性、メスを巡るオス同士の闘いについて解説され、参加者はこれまで知らなかったシカの生態について理解が深まったようでした。

また参加者からは、「牡鹿半島で日常的に見られる鹿の群れは、どのような家族構成になっているのか」、「シカにエサを与えることは身体に影響を及ぼすのか」などの質問がありました。牡鹿半島で生息数が増えている鹿の生態や、近年問題になっているシカへのエサやりについても、正しい知識をもとに理解を深めることができた様子でした。

 

神鹿角切り行事祭とは?

金華山黄金山神社にて、毎年10月の第一日曜日に開催されるお祭りです。

秋になり発情期を迎えた雄鹿は、気性が荒くとても危険。金華山黄金山神社では、境内周辺の人に慣れた鹿による事故を防ぐため、人の手で角を切り落とします。

角切り場に放たれた約15頭の雄鹿を勢子(せこ)が捕獲し、お神酒(みき)を一献差し上げた後、神官の手によって角が切り落とされます。

金華山では神の使いとされながらも、身近な存在の鹿。

人と鹿、ともに暮らすお互いのために、角切りはこれからも受け継がれていきます。

講師プロフィール

講師:南(みなみ)正人(まさと)

麻布大学獣医学部 動物応用学科 野生動物学准教授

NPO法人生物多様性研究所 あーすわーむ 代表理事

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