鮎川浜の郷土料理 ~炊き肉と鯨の煮こごり~

地域の食文化

現在牡鹿半島ビジターセンターでは、鮎川の年中行事をフェノロジーカレンダーとして展示しています。

◆ブログ|50年ほど前の鮎川の年中行事

この展示をもとに、鮎川浜の郷土料理について聞き取り調査を実施しました。

お話を伺ったのは鮎川生まれ鮎川育ちの佐藤淳子さん。

佐藤さんは商業捕鯨で栄えた鮎川で幼少期を過ごしました。

今回は郷土料理のほか、かつての鮎川の様子も教えていただくことができました。

炊き肉

炊き肉とはシラハギと呼ばれる部位を煮たもので、皮と身の間のようなスジ(コラーゲン質)が多いことが特徴。

スライスして生姜醤油で食べるのが一般的です。

コラーゲンたっぷりの炊き肉の塊

スライスした炊き肉

「鯨は捨てるところがない」ということは有名で、かつての鮎川には鯨肉加工のほか鯨油や肥料などを製造する工場がありました。

シラハギは、現代では大和煮の材料として活用されていますが、商業捕鯨全盛期は鯨肥の材料として使われました。

鯨肥工場で働く人々は生の食材を手に入れやすかったようで、

佐藤さんは下校中に紐で縛った大きな肉の塊を渡され、引きずって家まで帰ったそうです。

煮こごり

煮こごりは炊き肉をもとに作られる、家庭の味がよく出る料理です。

材料
炊き肉 500g
鯨の内臓 適量
三温糖 大さじ2
醤油 150㎖
100㎖
みりん 150㎖
根生姜  
旨味調味料  

薄く切った炊き肉をホロホロになるまで煮込み、水が少なくなったら調味料を入れて更に加熱します。

肉に味が染み込んだらバットに移し、冷やし固めたら完成です!

昔ながらの煮こごり(具がゴロゴロ!)

鯨肉を食べたことがある方はご存じかもしれませんが、鯨肉は硬くて食べるのが少し大変。

さらに独特なにおいもあるため、若い世代は積極的に食べないそうです。

佐藤さんはお孫さんもおいしく食べられるように材料をミキサーにかけ、

におい消しのために玉ねぎも入れて今風のレシピで作っています。

優しい口当たりです

玉ねぎは甘みもあるため、砂糖を入れる必要がありません。

郷土料理は衰退が危ぶまれていますが、優しさと思いやりによって時代を越えて郷土料理が伝わっているなんて素敵ですね。

たくさんの食べ物があふれる現代社会において郷土料理を食べる選択をすることはなかなかありませんが、

ぜひ一度、思い出話をしながら食卓を囲んでみてはいかがでしょうか。

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