金華山黄金山神社 鹿の角切り行事を見学してきました

10月1日(日)に執り行われた「鹿の角切り行事」取材のご報告です。

シカの角は毎年春先に自然と抜け落ち、再び生え始めるというサイクルがあるのですが、発情期を迎えた雄ジカは人に危害加える可能性があります。
それを防ぐために行っているのが鹿の角切りです。

金華山では、黄金山神社境内付近の個体を対象に角切を行っています。

角切り行事の前に安全祈願を行います。
勢子の皆さんは赤い旗でシカを追い立て、十字投げ縄で捕獲します。
縄がかかりました!
捕獲されたシカの視界を遮り、水分補給を行いながら角を切断します。

角を切られた個体は、体重を測定した後鹿山公園へ放たれます。

ベテランの勢子さんは手づかみで捕獲することもできます。勇敢ですね……!

勢子の皆さんがシカと対峙する一方で、研究者の方は一頭一頭のようすを常に観察しています。
暑さでふらふらになった個体や走るスピードが遅くなった個体を見つけ次第、速やかに角切り場の外へ逃がすよう指示を出します。
シカは犬や猫と同様に体温調節がうまくできないため、あと1周走っただけでも命の危険があるのです。

近年の気温の上昇は確実にシカに影響を及ぼしていますが、金華山においてはもうひとつ重要な視点があります。
それは人とシカが接する機会が減ったことです。
かつては人の手によって頻繁にエサを与えられてきたシカですが、東日本大震災以降は参拝者や観光客が減少し、人慣れしない個体が増えました。
彼らにとっては人と接すること自体が大きなストレスであり、気温の上昇による影響も相まって、以前のような行事の進行が難しくなっているようです。

研究者の方々だけではなく、勢子を務めた鹿友華角会のみなさんも「鹿ファースト」をモットーに角切り行事に臨まれています。

近年崩れつつある人と動物の関わり方はどうあるべきなのか。
どうやって伝統文化を継承していくのか。
行事を運営する人たちだけではなく、地域の人や遠方から訪れる人も交えて、これからのことを考えらればいいなと強く感じました。

最後になりましたが、立派な角が生えたシカと同じ場に立つことは恐ろしく感じたことと思います。
鹿友華角会のみなさん、お疲れ様でした!
金華山黄金山神社さん、お忙しい中お話を聞かせてくださった南正人さん、樋口尚子さん、ご協力ありがとうございました!

おまけ:角切り場の近くで生きるシカのようす
授乳中の小鹿はうんちが緩いので、お母さん鹿がお尻の周りをなめとってあげます。
おまけ:角切り場までの道は舗装されていないので、雨天時は長靴もオススメです。

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